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滝山城築城記(7)-滝山城の城ラマの見どころ-

みなさん、こんにちは。

八王子市より受託した滝山城の城ラマの製作過程をブログにしております。

今回はその7回目です。

さて、前回までは主にデータづくりについて記しました。

データが完成したらそのデータを型取りします。

その型取りしたものをまずはヤスリで磨き、ある程度滑らかになったら下地の色を塗っていきます。

その後、リアルサンドやフォーリッジ、ターフなど、主に鉄道模型で使用される情景材料を使い、さらに着色によって色を重ねながらジオラマを仕上げていきます。

最後に柵や塀、建物を設置して完成となります。

ま、簡単に書いていますが、この作業、結構大変なんです。なんせ、1/1500の世界ですから!

 

 

さて、完成した滝山城の城ラマのこだわりの見どころをいくつかご紹介しますね。

 

 

 

1)弁財天と舟

 

弁財天池

(弁天池周辺のジオラマ)

 

前々回のブログでも話題にしたように、滝山城にとって弁財天はとても重要だったと思われます。

ですから、この弁財天はしっかりと表現します。

まずは、弁財天の社が必要です。もちろん城ラマにはお社のパーツはありませんので、弊社スタッフが、城ラマの棟門パーツを改造して自作で作りました。ちなみに鳥居も0.5mmのプラ板を切り抜いて製作しています。

そして、この弁財天へ氏照が正式参拝するときには舟で島に渡ることが想定されますので、その舟と舟着き場も再現しています。

また、弁財天の南側には遥拝所を設け、一帯は鎮守の森の雰囲気がでるように緑の表現を多めにしました。

城ラマあるあるの話で、ここでアップした写真では全く伝わらないのですが、舟とか社とか限界を超えた小ささなので実際にご覧になって、顎が外れる位あんぐりしてください(笑)

 

 

 

2)中ノ丸の池

 

中ノ丸の池

(中ノ丸のジオラマと池の位置)

 

中ノ丸には御殿や会所など、城の中枢であることを表現するパーツを多く設置しました。会所の東側には池を表現しましたが、この池、東側でないといけない理由があるのです。

監修の藤井尚夫氏曰く、「池は鯉などの魚を鑑賞する為ではなく、東から登る月を池面に映すためにある」のだそうです。

なるほど、勉強になります。

 

 

 

3)新パーツ

 

今回はいくつかの新パーツを投入しています。

予算的な問題で本来は新規パーツは作らない条件でしたが、やはり、氏照の本拠であるこの巨大な城に色々意味を持たせようと思うと、既存のパーツでは表現が足りないこを痛感。結局5種類のパーツを新規設計し、3Dプリンタで出力しました。

 

 

✩台所・会所

台所

(台所)

会所

(会所)

 

台所に関しては、実は長篠城の製品化当初から欲しいパーツではありました。

滝山城のように多くの屋敷地が存在する城における中心地(今回では中ノ丸)には、やはり特別な空間を演出してあげる必要があり、その為ある意味私にとっても念願の台所のパーツをつくることにしました。

また、同じ理由で会所も作り、御殿周辺が随分雰囲気が出るようになりました。

 

 

✩櫓(二種)

四つ足

(オープントップの櫓)

二階櫓2

(2間×3間の二階櫓)

 

戦国時代の城のイメージの一つにオープントップの櫓の上から弓を射ているイメージがあります。

今回、藤井氏からも南側の防衛ライン上にオープントップの櫓を配したら随分と格好良くなるね、という意見を頂きました。

確かに、このラインにあるとかなり「絵」になるな~ということで、新規パーツ投入決定しました。

櫓四つ足

(オープントップの櫓が並ぶと格好いい!)

 

あとは、2間×3間の比較的小さなスペースでも設置が可能な屋根付きの櫓も新作しました。

これも結構お気に入りです。

 

 

✩氏照別荘

氏照別荘

(氏照別荘となる二階櫓)

こちらも前々回のブログで紹介した、本丸の西下にある弁天池を望む曲輪を氏照の別荘としたところから、その象徴的な建物を設けることにしました。井桁の上に別荘空間のある二階建ての櫓です。氏照が弁天池を眺めているとこるを想像してみてください!

 

 

 

4)小宮曲輪

 

小宮曲輪

小宮曲輪のある場所は、ある一時期、同盟者である武田信玄を迎える屋敷があった可能性を考え、他の屋敷地とはちょっと雰囲気を変えております。南端にある櫓もオープントップではなく、屋根付きの櫓にしているのも、他の屋敷地との差別化を図っています。

もちろん、武田信玄の屋敷があったことは、なんの裏付けもございませんので、あしからず。

 

 

 

 

5)西の虎口

 

西側虎口

小宮曲輪から西に屋敷地が連続して存在していて、その一番西に当たる部分には結構立派な虎口があります。その虎口の西には、幅のかなり広い土塁状の高まりがあります。藤井氏はこの虎口からその高まりに向かって橋が架かっていた可能性を指摘しました。

確かにこの虎口は滝山城の虎口の中でもかなり立派なものですので、ある程度しっかりとした虎口空間をつくる必要があると判断し、そのようにしました。

 

 

 

他にも、山の神曲輪北側にある竪土塁や、円形劇場風の空間、そしてカゾノ屋敷の東側と北側にある空間など、縄張図では簡略化してある場所や、過去ブログで取り上げた現地調査の結果もしっかりと再現していますので、楽しんでご覧ください。

 

竪土塁

(この竪土塁群を北側に配する山の神曲輪。単なる民衆の避難地には思えない)山の神曲輪についてのブログはコチラ

 

カゾノ屋敷周辺

(この辺りは藪がすごくて地形を把握するのが本当に大変でした)

 

東馬出と二ノ丸虎口大

(北条氏照と武田勝頼が槍を合わせている様子が見えるかw?)東馬出の検証動画はコチラ

 

北側カゾノ屋敷南虎口

(びっくり仰天の推定ルート)このルートの検証動画はコチラ

 

南虎口小宮曲輪

(南側の虎口の当時のルートを推定しました)この場所の復元に関してのブログはコチラ

 

 

 

製品の納品自体は6月3日(金)に終了していますが、八王子市が一般展示する時期に関してはまだ分かりませんので、情報が入り次第追ってご連絡します。

 

では今日はこの辺で。

著者情報

二宮博志

二宮博志

お城ジオラマ復元堂のご訪問ありがとうございます! 城郭復元マイスター 二宮博志です。 よろしければ城ラマのトップページもご覧ください! お城ジオラマ復元堂トップページ

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