滝山城築城記(3)-全部歩く-
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みなさん、こんにちは。
お城のジオラマ作りに欠かせないのが、縄張り図です。
これは、お城を研究している方、もしくは愛好家の方が本来立体であるお城を平面に書き起こしたものです。
(今回は東京都教育委員会「東京都の中世城館」の縄張り図を主に参考にしました)
縄張り図があるのとないのでは、お城の理解が全然違いますよね。
本当に先人たちに感謝です。
ただし、人によって解釈はまちまちですし、当然のことながら足を踏み入れていない所は描かれていないので、これを100%信じるわけにもいきません。また自分の目で見た、身体で感じたものをを作品にしないと単なるコピペの世界になってしまいます。
ですから、こういう機会では何度もお伝えしている通り、リアルなお城のジオラマ作りを目指している私にとって現地調査は欠かせません。
前回のブログでもそうでしたが、縄張図になにも記載がなくても遺構が埋もれていることもよくありますし、そういう遺構に出会った時の感動とはひとしおです。
この出会いの為に現地調査をしていると言ってもいいでしょう。
(おお!なんだあの土塁は!なんてことも)
で、現地調査なんですが、当然ながら隅々まで全部歩きます。(もちろん物理的に行くことが不可能な所はあります)
縄張図でも立体模型でも、お城は各曲輪、遺構の繋がりを確認することが大事なので、きちんと目視できるまで進むということが基本です。この辺りは、縄張図なんかを書いている方々は共感頂けると思います。ジオラマは立体物なので、それに加えて「高さ」という概念を付け足す必要があります。この高さがジオラマ作りの肝であり、また、苦労するポイントなのです。
私はGPSで高さを計測していますが、存知の通りGPSにも誤差があり、時には平気で10m位違うときもあります。しかも、一日の間でも変動します(多分衛星との関係や気圧とかの影響を受けて変化しているのではないかと思われます)ので表示された「絶対値」でデータを作ることができません。あくまで参考値となります。
(GPSはあくまで参考値)
じゃ、そういう場合はどうするの?というと、同じ場所を時を変えて何度か計測したり、地図上に記載された計測点や各曲輪同士の高さの相対値を参考にして、ある程度の数値を導きだします。滝山城でも藪がひどくて郭同士の高さを目視で確認できない場所がありますが、そういう場所は何度もアタックを繰り返すのです。
比較的小さな城で、一日で調査を終えることができれば、この数値の調整も比較的楽なのですが、滝山城は遺構が広大なので日にちを跨いで調査しなければならないので、その調整もかなりの経験が必要になってきます。
それでも、どこかおかしい所は絶対出てきますから、最後はぶっちゃけ、歩いたことにより自分体が覚えている感覚ってことになります。
最近ではドローンを使った測量やら赤色立体地図やら色々なものが出てきましたので、今後の作り方は少しずつ変わっていくかもしれませんが、最終的には現在の地形を再現するわけではなく、当時の「城」を復元する訳ですから、やはり自らの足で歩き自分の目で見た視点というのは、一番重要な要素であり続けると思います。
そのようにして、立体データを作りながら自分なりに各遺構の存在理由の仮説を立てつつ、そのお城のストーリーを作っていきます。
でもやはり「ん?ここはどういう理由でこの形になっているのだろう?」とか「ここに堀がある理由がわからん」とか色々と疑問が出てきます。
そこで城郭研究家、藤井尚夫氏の出番となります。
ということで、藤井氏との現地調査の動画をご覧ください。
以降、何回かに分けてアップします。是非滝山城の新しい魅力を発見してください。
では、今日はこの辺で。