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コラム 亀井玆矩と鹿野城

先日鳥取に行ったとき、鹿野城を訪ねてきました。
鹿野城はよく知らなかったので、ちょっとインターネットを叩いたら堀と石垣があったので、「おおっ、平城かぁ」なんて思ってなんの準備もせずに行ったのですが、その背後には山城が控えており、台風接近の蒸し暑さの中登城した為、汗ダクダクで大変なことになってしまったのでした(笑)

この鹿野城に縁のある武将が亀井玆矩です。

尼子家臣の湯永綱の子として弘治3年(1557年)に生まれた亀井玆矩は、尼子没落後16歳の時に山中鹿介と出会い、鹿介の養女(鹿介の妻の妹)で尼子氏家老亀井秀綱の次女時子を娶って、亀井姓を名乗り鹿介と共に尼子再興のために毛利と何度も戦いました。

餞(鹿介が亀井玆矩に送った書)

 天正6年(1577年)に尼子勝久、山中鹿介が死亡するとその後秀吉に従い因幡攻めにおいて鹿野城を攻略し、その後九州征伐や朝鮮出兵で活躍し鹿野城主となり因幡気多郡13,800石を拝領。
秀吉の死後、関ヶ原では家康方の東軍について高草一郡24,200石を加増し、38,000石の大名になった武将です。

尼子再興のために戦ったというのは前回の山中鹿介と同じですが、歴史の表舞台に出てきた時代の差なのか、それとも個人の資質によるものなのかはわかりませんが亀井玆矩は鹿介と比べるとかなり自由な感じがします。

玆矩の逸話で有名なものが秀吉に「琉球が欲しい」といい、秀吉から琉球国を賜う旨の金団扇を拝領し、一時琉球守を名乗ったことです。実際は秀吉の島津氏への配慮からその可能性が無くなりましたが、今度は中国浙江省台州をさす台州守を用いた時もありました。
また、鹿野城には朝鮮櫓・オランダ櫓という名の櫓があったといい、どういう形のものかわからないにしても、なにか新しいものを求める姿勢が感じられます。

鹿野城出丸跡と本丸跡の堀02(鹿野城内堀)

それだけではなく、江戸時代にはいると積極的に朱印船貿易を行い、タイなどの東南アジアに向けて3回も船を出しました。
朱印船貿易を行った大名のほとんどが九州の大名であったことを考えると、当時因幡鹿野の地にいた亀井玆矩がかなり特殊であったことがわかります。
その外へ意識を向ける姿勢は素晴らしく、おそらく異文化の交流の大切さや素晴らしさを理解していたのだと思いますが、好奇心旺盛な少年のようにいつも心がワクワクしていたに違いありません。

今では城跡となってしまった鹿野城、当時は王舎城と呼んでいたようですし、オランダ櫓や朝鮮櫓などの名前から玆矩がこの鹿野城や城下町もワクワクしながら作ったことが想像されます。
鹿野城の背後にある鷲峰山の山頂には天守台があり、そこから鹿野の街並みと田園風景、そして日本海まで見ることができます。

鹿野城天守台跡からの遠景01(鹿野城天守台からの眺め)
天守台に登ってそんな玆矩の作った往時の鹿野城や城下町を想像すると、自分の創造性とワクワク感が広がっていく感じがするのでした。

ワクワクは時代を超えて人を元気にするんですねぇ

本日はこの辺で

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二宮博志

二宮博志

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